【数学】2020年度公立高校入試の傾向・対策
2019年度公立高校入試の全国的な出題傾向・難易度から、2020年度の入試傾向・難易度を科目別に予想!
今回は数学の対策・勉強方法について解説します♪
2020年度公立高校入試の数学対策ポイント!
このコラムでは、2019年度公立高校入試から読み取れる、2020年度の受験対策方法を科目別にご紹介します♪
今回は、「数学編」です!
2019年度の数学の入試から分かる傾向は、以下の通り!
①「計算問題」は簡単!確実に点数を稼ごう!
②「図形」「関数」「データの分析」は長文問題が多め!手間がかかる・・・。
③「なんとなく分かる」はキケン!今後は「解き方」が点数になる!
①「計算問題」は簡単!確実に点数を稼ごう!
まず、数学の公立高校入試は、
「数と式」「図形」「関数」「データの分析」
の4項目の《基礎知識》が問われる傾向にあります。
典型的な問題で、確実な知識を問われるんです。
2019年度も、その傾向は変わっていませんし、難易度も特に変化していません。
よって、2020年度入試でもそのままの問題構成・難易度で出題される可能性が高いので、過去問題を解いて「数学の問題構成」に慣れておくことが重要です!
《重要ポイントと対策》
入試問題の中でも特に基礎知識を問われるのが「計算・一行問題」。
前半に出題される、単純な計算問題ですね。
こちらは、基本的、つまり簡単な問題が出題される傾向にあります!
落ち着いてサクッと解き、後半の問題に試験時間を回すよう意識すると良いでしょう◎
②「図形」「関数」「データの分析」は長文問題が多め!
前半に出題される「計算・一行問題」が簡単な一方、後半に出題される「図形」「関数」「データの分析」には、少し難しい、手間のかかる問題が増えてきています・・・。
実は現在、大学入試の世界で「大学入試改革」というものが行われていて、そこで以下のような入試問題の変化が起こっています。
・問題文や資料の文章が長くなった
・答えだけではなく、解き方も聞かれるようになった
・勘では当てられない問題に変更された
・問題の内容が日常生活を生かしたものになった
この「大学入試改革」の影響が、公立高校入試にも出てきているんです!!!
「大学入試改革」の影響が見られる公立高校入試の問題例
【大分県の2019年度高校数学入試問題より】
かずおさんは、プロジェクターで映し出した画面の大きさと視聴者が見やすい位置について考えることにした。
下の〔図1〕のように、教室の前方の壁にプロジェクターで映し出した画像を画面とし、〔図2〕のように、プロジェクターのレンズから画面までの距離を投影距離とする。(問題文の一部・表・図は中略)
視聴者の目の位置から画面までの距離を視聴距離とする。
かずおさんは、投影距離が3/2mの位置にプロジェクターを設置して映してみたところ、教室の後ろの席から画面を見ると画面が小さすぎて見づらかった。
そこで、投影距離が3/2mのときの画面の面積の2倍となる位置に、プロジェクターを設置しなおし固定した。
プロジェクターの位置を決めたことで、投影距離も決まった。ところが、今度は、教室の前の席から画面を見ると画面が大きすぎて見づらかった。
そこで、プロジェクターの位置を変えずに、見やすい視聴距離を考えることにした。
視聴距離を決める目安の1つとして、下の〔基準〕を用いた。【〔基準〕視聴距離が画面の対角線の長さより長くなると見やすい。】
〔基準〕に沿って、視聴距離は何mより長いとよいか、求めなさい。
《重要ポイント》
こちらは、「問題の内容が日常生活を生かしたものになった」問題の例です。
学校でも使うプロジェクターの設置という、生徒にとって想像しやすい場面設定ですよね!
そして、問題文が長文です!
その長文の中で提示された条件を整理して、問題を解く必要があります。
さらに、問題を解く際も「文字式」「関数」「三平方の定理」といった、様々な知識を使わなければなりません。
複数単元を融合した問題になっているんですね。
《対策・勉強法》
一見、特殊で難しそうに見えますが、実はこの問題、段階を追って考えることが出来たら簡単に解くことができるんです!
受験生の皆さん、特に成績が中~上位の生徒さんは、このような読解力や条件整理が必要な、思考力が問われる問題をたくさん解いて、練習しておくと良いでしょう◎
実は教科書レベルの知識さえあれば解けるという問題もたくさんありますよ♪
また、このような日常生活を利用した問題は、他にも、
・(ラグビーワールドカップ2019の開催を題材として)ラグビーのゴールキックの成功しやすい位置を求める図形問題
・東京オリンピック、パラリンピックのエンブレムに使われている図形の性質を求める問題
というように、時事ネタが利用されたものも出題されやすくなっています。
英語や社会の問題では既によくあるパターンでしたが、数学でもこのような問題が増えているんです!
問題を解くために時事の知識が必要というわけではありませんが、例えばラグビーの問題なら、ラグビーの知識を知っている人と知らない人で、問題文を読むスピードが変わってくるはずです。
問題文を正確に読み取るためにも、オリンピックを中心とした時事ネタについて知識をつけておくのもオススメですよ♪
③「なんとなく分かる」はキケン!今後は「解き方」が点数になる!
以下の問題は、数学の記述問題の例です。
問題の内容は、表や図の特徴を文章でまとめるものとなっています。
【宮城県の2019年度高校数学入試問題より】
美咲さんとその友人をあわせた8人は、ウォーキングを行い、歩数計を用いて歩数を記録することにしました。
この歩数計は、身長を設定すると対応した歩幅が表示されます。
また、歩いた距離として歩幅と歩数をかけた値も表示できます。(問題文の一部中略)
(表・図から、FとGは他6人に比べ、身長が約20cm、歩幅が約10cm大きいことが読み取れる)美咲さんたちは、ウォーキングコースを決めるために、10000歩で歩ける距離を、考えてみることにしました。
下の【】は、美咲さんたちの考えを述べたものです。
内容が正しくなるように、[ う ]には適切な理由を、[ え ]には適切な数値を入れなさい。【8人の歩幅はそれぞれ違うから、代表値を用いて計算してみよう。代表値としては、歩幅の平均値と中央値を比較すると、中央値の方が適しているだろう。なぜなら、表と図をみると[ う ]である。1日10000歩で歩ける距離は、歩幅の中央値を使って計算すると、6300mになる。この距離を10日間毎日歩くと、美咲さんの歩幅では、10日間合計で[ え ]歩となる。】
[ う ]の解答:(例)友人FとGの値が、全体の分布からはずれた極端な値になっており、平均値は極端な値に影響されるが、中央値はあまり影響されないから。
《重要ポイント》
この問題では、表やグラフから「数値の分布が偏っている」ということがすぐに読みよれる構造になっています。
しかし、それを読み取ったうえで、代表値について、平均値や中央値という言葉を使って[ う ]のように説明するというのは、記述問題に慣れていないとかなり難しいのです。
「なんとなく分かる」という勉強をしていると、このような解答手順を問われる問題で、「何て言ったらいいのか分からない」という状況に陥ってしまいます。
《対策・勉強法》
記述問題対策も大切ですが、現在、記述問題数自体は減少傾向にあります。
そのため、どの問題を解くときにも役に立つ「論理的に問題を解く練習」を行いましょう!
具体的には、
・途中式を書く
・考え方をメモする
などが効果的!
問題を解き終わったときに、「なんでこうなったんだっけ?」「なんでこの解き方を選んだんだっけ?」と自分に聞きなおす癖をつけましょう!
基礎知識+αで特殊な問題の対策を!
最初にも述べたように、数学は例年通りの問題・難易度で、確実な知識を問う問題が多い科目です!
日常生活を題材とした問題や、記述問題についても大切ではありますが、第一に教科書レベルの問題、次に過去問題を確実に解けるようになることが重要です。
それがクリアできたら上に挙げたような特殊な問題の対策を行って、他の受験生と差をつけていきましょう♪
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